山陽路は 蒸し暑く 雨の少ない梅雨です。
2007.7.1.
梅雨入り宣言は出たものの・・・・山陽路は,時に豪雨が走り去るばかりで,黴雨というイメージの,しとしとと降り続き,雨に濡れる紫陽花の花の彩りと葉の緑・・そして,板塀の脇をのろのろと歩む蝸牛の戸惑い・・・みたいな感触は全くありません。この前も6年生の集中講義で,生活環境保健のまとめ講義をしましたが,地球環境問題の中で,温暖化についても触れました。本当にここ数年,梅雨時にも,いくつかの地域で集中豪雨が起こって被災者が出てしまったり,反対に,今年の山陽路の様に,梅雨とは名ばかりの日々が続いたりと・・・季節の彩りを失っていくことは,僕らの気持ちの機微が少しずつ薄らいでいくようで,少し寂しい想いがします。
教室から見える窓は,田植えも終えた田圃が広がり,それでも粛々と季節は巡ってはいるようですが・・・・。
もう30年も前・・高校の頃から,当時はやり始めていたシンガーソングライターに憬れて沢山詞を書いて曲を作りました。黴雨というイメージの中で,書いた歌もありました(もう30年以上前の作品です)ので,もう,郷愁でしかないのなら,ここに少し紹介してみようと思います。
梅雨さなか
水無月廿日 雨の街
小さな方が ふるえてる
雨傘でかくして 涙ぐむ君に
一言声を かけたくて
小指の先に 雨の糸
明日の夢を 紡いでる
雨雲の向こうに 倖せがみえる
水無月廿日 梅雨さなか
水無月廿日 雨の街
ため息ばかり かぞえてる
思い出が溶け込む この雨がやめば
ほほえむことも できるなら
走っておいで 雨の途
涙のあとも ふかぬまま
雨傘でかくして 抱きよせてあげる
水無月廿日 梅雨さなか
水無月廿日 梅雨さなか
本当に,こんなイメージの・・・・・・モノトーンの中に,雨に濡れる木々の繁った葉の深い緑だけがほんの少しの癒しを与えてくれるような そんな梅雨はどこかへ行ってしまったのかも知れません。
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さて,昨年の11月から実験補助員・研究補助員として来てくださっていた木村さん。今月一杯で終了ということになりました。僕は・・・やはり現在の我々の教室の仕事が,上手く彼女の資質を引き出してあげることの出来ない状況にあるということで,残念でした。科学技術振興調整費とか諸々の成果を確実に求められる資金的な委託を受けて,取るもの取り敢えず,我武者羅に結果を求めていく状況の中で,彼女の研究環境の中での成長や習熟を同調させ切れなかったことは,心から詫びさせてほしいと思います。彼女の真摯さやひとつのことにわき目も振らずに向かっていく姿勢を,こちらが上手く向かう方角の示唆をする余裕も無かったのかもしれません。そういう意味では,また違う場面だったら違ったのに・・とも感じてしまいますが・・・でも,雨の季節の次には,輝く陽光の夏がやってくるように・・・僕らは僕らで,また違う場面の中で,精一杯,一所懸命,研究に精力を注ぎ込んで行かなければなりませんし,彼女には,それでも彼女の資質に適う舞台がどこかに用意されているだろうと感じています。振り返ることなく,それでも誰しも明日に向かって・・・・そう,その気持ちで進むしかないだろうって思ってます。
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5月は思いの外学会続きで,そして6月には少し余裕が持てるかと思っていたら,授業も多かったし,また,学内のカリキュラムに関連するような
working group としての仕事もあったりで,なんだか,知らない間に季節が巡っていくようです。5月の終わりに,下の子と季節を少しだけ追い越して訪れた砂浜では,燃えカスの花火の芯が残ったり,他の子たちは,裸ン坊で夏そのもの・・・・うちの子も波打ち際をいつまでも走り回ったりしていました。追い越して辿り着いた筈の浜辺は,もう既に夏の糸を織り込んでいたような感触でした。
巡るものは人々の気持ちの移ろいと,あるいは,誰もが邂逅と惜別を繰り返していくというのが世の常ならば,それでも,時に追い越したり,あるいは,残されたりする季節の移り変わりに心の拠所を求めていた筈だったのですが・・・いつの間にか,季節とは名ばかりの単に暑さ寒さの揺らぎの激しさだけが抽出されてきた感触に,年寄りの僕は,まだ,慣れることが出来ていないのかも知れません。時に,繁華な街を歩くと,若者たちは,今のみだらな季節そのままに,飛びぬけた姿格好で,そこここを闊歩していますし・・・なんだか,それだけで季節外れの冷ややかな風が,心の中に吹き込んでくるようです。
う~ん,なんだか汗ばむ皮膚とは裏腹の,寂しさにがんじがらめな想いの吐露になってしまったようで・・・。
これではいけませんね。
さぁ,仕事をしましょう。
「いくつかの場面」でも紹介してきてますように最近は,うちの教室では,いろんな助成や賞などにも,幸運が呼び込まれてきているようです。それならば,一層,僕らは精進して,しっかりと研究をしていきましょう。
ねっとりと絡みつくような少し重ための空気を,こちらから吹き飛ばしてしまうように・・・さぁさぁ,がんばりまっしょい!!!!
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